現代では、AIの登場によって、
「人間の仕事が奪われるのではないか?」
という話をよく聞くようになりました。
文章を書く。
翻訳する。
資料をまとめる。
プログラムを書く。
これまで「知的労働」と呼ばれていた
作業の一部は、すでにAIが高いクオリティで
こなせるようになっています。
しかし、私は少し違うことを考えています。
AIが本当に変えるのは、
仕事の内容ではなく
「人間の知性の使い方」
ではないか、ということです。
人間の知性の使い方が変化する時代に
私たちは普段、自分の頭の中だけで
考えているように感じています。
何か疑問が浮かび、
それについて考え、
結論にたどり着く。
しかし実際には、人間の思考は
かなり多くの「外部装置」に支えられています。
紙とペン。
本。
メモ。
ホワイトボード。
インターネット。
人間は昔から
「外に思考を出す」ことで考えてきました。
たとえば数学者は、
頭の中だけで計算しているわけではありません。
式を書き出し、
図を描き、
何度も書き直しながら考えています。
つまり知性とは、
「脳の中の能力」
だけではなく、
「外部の道具と組み合わさった能力」
でもあるのです。
AIによる構造の変化
AIは、この構造を少し変えます。
紙やメモは
思考を「記録する道具」でした。
インターネットは
情報を「検索する道具」でした。
しかしAIは違います。
AIは、思考そのものに
参加してくる道具です。
問いを投げると、
別の視点を返してくる。
考えを整理すると、
構造を提案してくる。
言葉にならない感覚を投げると、
それを文章として表現してくる。
つまりAIは、
思考の外部化
だけではなく
思考の共同作業
を生み出します。
思考の共同作業が起こす現象
ここで面白いことが起きます。
AIと対話していると、
自分が何を考えているのか
どこで思考が止まるのか
何に違和感を持っているのか
それが少しずつ見えてきます。
AIは知識を増やす装置というより
思考を観察する装置
なのかもしれません。
もしそうだとしたら、
AIが変えるのは
単なる仕事の形ではありません。
人間が
「自分の知性をどう使うのか」
という感覚そのものを
少しずつ変えていく。
AIがすごいから
世界が変わるわけではありません。
人間が
自分の思考を
外に出して観察できるようになるからです。
そして、ここからが
本当に面白いところです。
AIの時代になると、
これまで価値があった能力の一部が
あまり価値を持たなくなります。
逆に、
これまであまり意識されてこなかった能力が
急に重要になります。
では、
AIの時代に価値が上がる
人間の能力とは何なのか。
その話は少し長くなるので、
次の記事で詳しく書きたいと思います。

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